ーKARIN galleryー
空間ー伏見白赤稲荷大神の話ー
〈artist name〉 Karin Nakamura
〈creation time〉 January 21, 2022 to February 9, 2022
〈artist statement〉
その一
伏見白赤稲荷大神があることをネットで知った時、妙に引かれる自分がいた。普段は一人で山を登るなんて考えられないのに、『何がなんでもここに行かないと!』という気持ちにかられた。
そのニ
山を登り始めると近くで草木が動く乾いた音がした。私の不安は大きくなるばかりだったがこの日とても天気がよく、太陽の光で山の草木はキラキラと輝いていた。私は不安を抱きつつもこの光の中を登っていくことにした。
その三
鳥居が連なっている道を歩くのは初めての体験だった。空気と光が何故だかとても心地良かった。山を登り始めた時の不安はすでになく、参道を歩いていると自分の気持ちが高鳴っているのを感じた。
その四
山頂の社殿の脇にはちょっとした空間があって、太陽の光と草や木が調和していた。私はそこに足を踏み入れることはなく、この空間に存在する光や草木の様子を穏やかな気持ちで眺めていた。
人の気配を感じないのは何故だろうか。私は清らかな自然の中に神聖な存在を感じた。
〈photo commentary〉
1枚目は山を登り始めてすぐに出会った場所です。太陽の光で草木がとてもキラキラしていました。写真だけを見ると、稲荷神社に吸い込まれるような道なりになっています。
この日はあちこちで草木の乾いた音がしていたので、正直とても怖くて不安な気持ちでいっぱいでした。
2枚目は参道を歩いている途中で撮影しました。空気は気持ちよく、心地良い光で鳥居が生き生きと建っていました。朽ち始めている鳥居と光が相まって、神秘的な雰囲気を醸し出しているかのようです。
3枚目は参拝をした後に、社殿の脇にちょっとした空間を見つけました。そこは静かで穏やかな空気が流れており、眺めているだけでも自分の気持ちがゆったりしてきました。ここには人の気配はなく、逆に自然そのものが存在していて神聖さを感じました。
今回は3枚目の写真に空間を感じました。こちらの稲荷神社の本来持っているエネルギーを光や草木を通して感じたのだと思います。
一見何もない場所に目に見えない存在がいて、もしかしたらそれは私たちに話しかけているかもしれません。あるいは、誰かのテリトリーであり個人の空間であるからこそ、そこにしかない時間の流れや空気が存在するのかもしれません。私はほんのひと時の間、この空間に神様の存在を感じたのでした。
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